塩原 火山・湿地・渓谷の森

2025年09月24日

栃木県塩原。30万年前の火山活動で形成されたカルデラ地形に由来する、著名な温泉郷を中心とした面積30平方kmほどの エリアです。標高はおよそ500ー1200mと 近隣の奥日光や那須に比べてそれほど高くはありませんが、火山地形に加え、湿地や平坦地、浸食された深い河畔域など地形が多彩です。その傾度に沿って見られる多様な冷温帯の森林を回りました。 


新湯から大沼

新湯富士

1日の散策のはじめは、まず標高高めのエリアから。温泉郷のひとつ新湯から新湯富士に登ります。この山は、約6500年前という地質学的には比較的新しい時期に噴出した溶岩ドーム。 周回するために温泉の先1.5kmほどの「ヨシ沼園地」の駐車場にくるまを停めて、よく整備された歩道をまず西へ。

森の優占種、ミズナラ。

山裾で肥沃な立地。 直径80cmを超える大径木が多数。車道からわずかでこの林相が見られることに驚きます。

ブナ。

クリ。

ミズメ。

トチノキ。

ハリギリ、コシアブラ。

ホオノキ。

モミが混交。

クロベも。

非常に多様な森ですが、シカの影響で林床は乏しい状況。

アズキナシ。

ウラジロノキ。

クマシデ。

サワシバ。

アサダ。

ハウチワカエデ。

アサノハカエデ。

ミツデカエデ、チドリノキ。

ヒトツバカエデ。

アワブキ。

エゴノキ、ハクウンボク。

アオハダ。

ガマズミ。

オオカメノキ。

新湯温泉の裏手。爆裂火口跡で噴気が見られます。ここから方向を変えて新湯富士の西斜面を登ります。

火口跡の周辺は低木林。リョウブが優占していました。

バイカツツジ、シロヤシオ。

ホツツジ。

トウゴクミツバツツジ。

アオダモ。

ムラサキシキブ。

標高を上げるとふたたび見事な森。

ヤマザクラ。

ウワミズザクラ。

ナツツバキ。

鞍部。トチノキが優占する個所がありました。

ここは林床にオシダが優占。

ヤマモミジ、ヒナウチワカエデ。

ウリハダカエデ。

コミネカエデ。

アサノハカエデ。

イタヤカエデ。

エンコウカエデ。

山頂直下、急に林相が変わり針葉樹林になりました。

標高1,000m強なので亜高山帯の針葉樹林ではありません。クロベーアスナロ林の看板。急斜面で土壌の浅い立地が関係するのでしょうか。意外とも言える多様さがありました。

クロベ。直径70cmほどの大径木も。

アスナロ。

サワラも。

稚樹が見られました。

ツガ。

ウラジロモミ。

針葉樹林に見とれているうちに、標高1,184mの山頂に到着。眺望はなく、誰もおらず静かです。

山頂付近も見事な林相。

ミズナラ・トチノキの大径木。西斜面を下ります。こちらはふたたび広葉樹が多い印象。

カツラ。

ミズキ。

斜面下部は人工林になっていました。


大沼

林道に下山。標高960m。ここからは湿地帯。

ふりかえると新湯富士。湿地はヨシが優占。

ズミが多く見られました。

結実。

ハンノキ。

ノリウツギ。

カンボク。

大沼。新湯富士の火山活動で堰き止められた沼沢地。

周辺の開けた森。ミズナラ。

ハルニレ。

カツラ。

もう一度山を眺望。

変わらずよく整備された歩道で帰路へ。「よみがえれ原生林」の看板。大沼周辺で広葉樹植栽などが行なわれている旨。

イヌエンジュ。

カマツカ。

ヤマグワ。

ヤマウルシ、ツタウルシ。

リョウブ。

出発から2時間半。ヨシ沼湿原に戻りました。


塩原温泉周辺

ビジターセンターから

山から下って箒川の渓谷へ。標高550m。

ビジターセンター。この日はお休みでした。。

温泉の説明。開湯は大同元(806)年、現在は11の温泉群から構成されているそう。明治ー大正期に近代的な保養地となったとのこと。

旧塩原御領林の看板、塩原には明治36(1903)年に御用邸が置かれ、その対岸にあたるこの一帯が御領林になったのこと。面積は46ヘクタールと広くはなく、保健休養林の位置づけだったと思われます。歩道が整備されており、塩の湯方面のコースを辿ります。

歩道は狭い尾根から次第に斜面へ。尾根上はコナラが優占。

アカマツの大径木も。

緩斜面ではモミが混交。

モミの若木が密生する個所も。

ブナ。

ヤマザクラ、ウワミズザクラ。

コハウチワカエデ。

エンコウカエデ。

アオハダ。

河岸の緩斜面はスギの人工林になっていました。御領林の区域ではないようですが、とてもよく管理されてきた林相。

ここにもときおりモミが混交。

鹿股川を渡り、しばし川沿い。

イヌブナ。

オニグルミ。

サワグルミ。

ケヤマハンノキ。

アカシデ。

クマシデ。

サワシバ。

アワブキ。

ミズキ。

ヤマボウシ

エゴノキ。

ヤマコウバシ、アワブキ。

ヤマアジサイ。

フサザクラ、ヤマハギ。

ミヤママタタビ。

サンカクヅル。

フジ。


須巻富士

さらにもう一箇所。少し移動して、標高710mの須巻富士へ。さきほどと同じ「富士」ですがこちらは火山起源ではなく、河岸の丘陵。

信仰の山となっていて、よく整備された参道をいきます。

アカマツの美しい林。 

コナラも優占。

結実が見られました。

ミズナラも少し混交。

15分ほどで不動尊が祀られた山頂。木立に囲まれていました。

林床、一部低木層が豊富な個所も。

ホオノキ。

マンサク。

ヤマザクラ、ウワミズザクラ。

ウラジロノキ。

アカシデ、サワシバ。

ヤマモミジ。

ウリハダカエデ、イタヤカエデ。

アオハダ。

タカノツメ。

トウゴクミツバツツジ、バイカツツジ。

ネジキ、サラサドウダン。

眺望はほとんど得られませんでしたが、静かなよい散策路でした。


木の葉化石園

最後に温泉街のはずれにある木の葉化石園。約30万年前の火山活動で形成されたカルデラ内に生じた古塩原湖に堆積した地層(看板の後ろに見える)が、保存状態のよい化石産地になっています。 

化石は、基本的に30万年前(中期更新世)の比較的短い期間の固定堆積物由来とのこと。約200種が発見されており、植物相は現在と大きな変化はないのだそうです。確かに展示されている樹種は今日の復習のよう。

化石の販売があり、あれこれ見比べて時間を要してしまいました。

多様な森めぐり、それにふさわしいおみやげになりました。

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